ウサギの診察
ウサギの診察について
健康な時から病院に来る事をすすめています。カルテに正常な体重や体調が記録されていれば、病気の際に早く気が付ける利点があります。
また、飼い主さんがウサギさんの移動に慣れていれば、病気の際に慌てずに来院ができると思います。
ウサギの診察は床で行います
ウサギさんは犬や猫に比べて骨が細い構造になっています。他の動物よりも骨折のリスクが高い動物です。診察中の落下事故を防ぐために診察は床で行い、できるだけ静かに診察を行います。
また、飼い主さんもできるだけウサギさんを興奮させず、静かに動物病院に連れてくる事を心掛けて頂くと、円滑に診察ができます。
よく見られる症例・病気
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食べない、ウンチが小さい
1日以上の絶食は、より体調を悪化させてしまいます。牧草の食べが減った、便が少なくなったといった症状が、飼い主さんから見ても明らかならば、来院をすすめます。軽度の胃腸うっ滞から重度の病気まで、外から見える症状は似ています。
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傾く、目が回る
斜頸と呼ばれる症状が疑われます。エンセファリトゾーンによる脳炎や中耳炎などが鑑別になります。ウサギさんが転倒しやすいため、タオルなどで保護して来院ください。
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皮膚や耳が赤い
飼い始めのウサギさんにはカビ(真菌症)やカイセンなどのダニの寄生をみることがあります。また、外傷やカカトの潰瘍、トレポネーマの感染も起こります。
当院で行っている治療
歯科処置
「よだれが出る、食べたそうにするが食べない、顔が腫れてきた。」という症状があるときはご相談ください。
ウサギは噛み合わせの乱れにより、歯の形が異常な形に変化してしまいます。獣医学的な処置により食事が食べられる状態へ戻さないといけません。特にウサギさんは一生かけて歯が伸びる動物ですので、継続して治療が必要になる場合もあります。
乳腺腫瘍、体表腫瘤の手術
乳腺癌や皮膚の下に腫瘤が発生する場合があります。これらの疾患は外科的に対応するべき病気です。ウサギに麻酔を掛けるのはリスクがありますが、麻酔をかけただけで次々に死亡する訳ではありません。ウサギさんに麻酔をかける際には血液検査やレントゲン検査など体調の評価を詳細に行った上で行います。また、犬猫の病院で出来ないといわれた腫瘤でも当院なら手術ができたというケースもあります。当院はウサギ専用の麻酔器具や小動物用の手術道具を用意しております。なるべく腫瘤が小さい内にご依頼ください。
避妊・去勢について
雌ウサギの避妊手術のすすめ
何もしていない雌ウサギは5歳までに8割が子宮疾患になるというデータがあります。子宮内膜症や子宮腺癌になり、いずれも大量出血のリスクがあります。腺癌に至っては「転移」のリスクもあり、「予後不良で死亡」となる場合があります。
当院では大人の雌ウサギに対して避妊手術を勧めています。加えて、ウサギは繁殖能力が高く、オスと飼うと数秒の交尾で妊娠が成立してしまいます。繁殖抑制も兼ねていますが、病気の予防の意味合いが強いです。まずは「避妊手術の相談」でご来院下さい。
8ヶ月以上のウサギから対象になります。
メリット
- 子宮疾患の早期予防
- 早いと1歳でも発症します。子宮からの出血が起こり、大量であれば致命的な貧血に陥ります。
陰部からの出血は子宮疾患のサインです。 - 子宮腺癌の予防
- 転移したら治療法はありません。
- 望まない妊娠をさせない
- 繁殖のトラブルの回避。
デメリット
- 麻酔のリスク
- 術前に血液検査で異常がないかを確認します。
当院はウサギ専用の気道確保の器具を導入しており、安全に配慮して手術を行います。 - 2週間程の術後管理が必要
- 術後5日間の投薬を行います。食欲が落ちる場合もあります。2週間後に傷口の確認があります。抜糸はありません。
雄ウサギの去勢手術
以下の項目がよくある手術を行う理由です。
- 発情行為が激しい(かみつく、攻撃する。)
- 望まない繁殖をコントロールする。
- 目の舜膜が飛び出している。
- 老ウサギで精巣が大きく腫れている。(精巣腫瘍)
短時間の麻酔の手術ですが、万全の準備の上で行うため、完全予約制です。ウサギさんの検診と手術の説明を診察室で行いますので、一度「ウサギの去勢手術の相談」でご予約下さい。