デグー・チンチラの診察

デグー・チンチラの
診察について

南米系のテンジクネズミの仲間は冷涼な山の岩場を出身とするネズミの仲間です。1年を通じて冷やして飼う点や、牧草を主食にして繊維質を多く取る様にする点など、同じネズミのハムスターとは飼い方がだいぶ違います。ハムスターよりも手間のかかる動物の印象ですので、しっかりと準備をして飼育をはじめましょう。

よく見られる症例・病気

チンチラの子宮蓄膿症

子宮の中に細菌が増殖して子宮が化膿してしまう病気があります。これといった予防策はなく、唐突に発生する病気です。
元気や食欲がなく、よく観察すると陰部から白い液が出ている状態は疑わしいです。
診察ではレントゲン検査や超音波検査で確定診断を行います。

不正咬合

チンチラやデグーの体重減少の原因で一番多いのは歯の問題ではないでしょうか。チンチラやデグー、モルモットは全ての歯が一生涯かけて伸び続けます。一定以上の牧草を食べて、正常な歯であれば何もしなくて大丈夫です。不正咬合の予防は「1日にできるだけたくさんのイネ科の牧草を食べる」事です。

「ヨダレが多い」や「歯ぎしりが多い」などが病気のサインです。1ヶ所でも伸びると歯が舌や頬に刺さって食べられなくなりますので、すぐに治療が必要です。専用のカッターや数ミリしかない小さなドリルで歯の形を整えて治療します。特にデグーマウスは200gと小さく、口も狭いですので、当院では特注で作ってもらった器具で処置を行います。デグーマウスは一番奥の歯が変形するパターンもありますので、見逃しがない様に診断していきます。チンチラやデグーマウスはウサギとは大きさが違うため、より小さな器具を使用して対応します。当病では様々な小道具をそろえており、迅速に処置を行います。

尾の皮が取れた

デグーやチンチラの尾は何かに挟まったときに、皮ふが抜けてしまう構造になっています。筋肉や骨が出てしまい、出血が続く場合がありますので治療が必要です。
多くの場合は断尾手術になりますが、当院で対応可能です。極細の糸で皮ふや筋の縫合を行い、端部を整えていきます。

毛が抜ける、皮フが赤い

小型のげっ歯類の皮フには元々皮膚病の原因となるカビが少数だけ生息しています。飼い始めたばかりの子供や夏の時期になると脱毛といった形で症状を出す場合があります。手の周りや顔に赤みのある脱毛が見られたら、診断して治療しましょう。

デグーのペニス脱

発情している雄はペニスを時折出していますが、毛が絡まるなどしてペニスの先端が腫れて戻らなくなる事があります。時に腫れたペニスを自分で咬んで悪化させてしまう場合もあります。出血したり、痛がっていたら早めに診察を受けましょう。重症であればカラーをつけたり、外科処置が必要になります。

レントゲン検査について

レントゲン撮影はできるでけ鎮静をかけずに行うようにしています。時に正確な姿勢で、細かい部分の診断が必要になる症例があります。こういった時は、動いたままでピンボケの画像を何枚も撮影する方が動物に負担がかかります。必要に応じて、ガス麻酔で軽度に鎮静をかけた方が早く正確な検査ができます。

鎮静麻酔時は、呼吸の深さや心拍の様子、粘膜の色などを見極めて、使用するガス麻酔を最小限度に調整し、体にかかる負担をできるだけ少なくした検査を心掛けています。

各種手術

チンチラの膀胱結石摘出、各種体表腫瘤摘出、難産・帝王切開、腸内異物なども行っています。これらは手術法が教科書に載っている内容ではありませんが、飼い主様とご相談の上で、必要であれ随時行っていきます。