症例紹介

フクロモモンガ

フクロモモンガの検便の話

フクロモモンガの検便は大切と思います。具体的にどのような物が出るかは明らかになっていない事が多いですので、お話したいと思います。

どの動物でもそうですが、最も検便を行いたい時期は「飼いはじめ」です。多くの場合は脱嚢したての若い個体ですので、免疫力が弱く感染が起きやすい印象です。何年も飼っていたフクロモモンガさんから急に寄生虫が出るといった事例は多くない印象です。

当院では「原虫」と呼ばれるグループがよく出ます。下痢の症状を示し、食欲が低下する事が多いです。

子供のフクロモモンガは体力が少ないですから、健診で便の異常を発見し、体力が低下する前に治療を始めたいですね。

 

実際に検便すると原虫の中で、「トリコモナス」と思われる形態の寄生虫が見られます。「思われる」と表現したのは大きな分類は「トリコモナス」で間違いなさそうですが、詳細な分類は大学の寄生虫学の専門家でないと難しい内容で、教科書に記載がない種類の可能性があります。

文献上は上記以外にも「コクシジウム」や「クリプトスポリジウム」なども書かれていますので、毎回注意しながら検査をしています。特に最近はブリーダーさんが増えてきたため、国内でも色々な所から来ますし、台湾など海外から来る事がありますので、感染の出所が多様です。いつ何時に感染症が急に出で来るかは分かりませんので、1度は検便をしてみてはいかがでしょうか。

トリコモナス様の原虫の感染は、抗原虫薬で治療できる事がほとんどですので、「お迎え健診と検便」はおすすめです。

 

BEN犬猫エキゾの病院

院長 石川雅章