症例紹介
デグーマウスの歯ぎしりが多い時の話
げっ歯類のデグーマウスで「歯ぎしりが増えた」や「よだれが多い」、「体重が減った」は要注意の症状です。
当院の感覚ではデグーさんの「食べない」で最も多いのは「不正咬合」であり、本日はその症状のチェックの話です。
昔に比べたらデグーさんを飼われている方は多くなったと感じますので、当院でも治療をする機会があります。
特に奥歯の不正咬合は自宅では確認できません。デグーさんの奥歯を自宅で見たことがある人はほとんど居ないと思います。
ワンちゃんは大きな口をしていますので、大人しい子なら唇をめくって奥歯まで観察ができます。デグーやモルモット、チンチラは解剖学的に元々「おちょぼ口」ですので、性格とは関係なく奥歯の観察が難しいのです。
奥歯を直接見ることなく、奥歯が悪い事に気が付くのが不正咬合のポイントです。
この症状が見られたら動物病院へ連れていくサインをまとめましたので参考にしてください。
家で観察できる点はいくつかあります。
1.体重を測る
成体のデグーが自然に体重が落ちる事はありません。例えば200gあった個体が170gに落ちたら明らかに何かあると判断し、動物病院で診断をしましょう。
プラケースに入れて料理用のキッチンスケールに入れるとやりやすいです。
ただし、体重が減らない不正咬合もありますので注意しながら測定します。
個体差もあると思いますが、150gでかなり減ったなと思いますし、130gを切ったらかなり危ないと感じます。
何グラムになったかも大切ですが、健康な時と比べてどれだけ減ったかも気にしておきたいです。
2.前歯を見る
プラケース越しでも構わないので前歯が真っすぐか観察します。左右対称でない前歯も不正咬合として診断しますし、前歯が曲がっている時は奥歯もあわせて不正であるケースが多いです。異常を見つけるきっかけの1つとして、前歯の観察を行います。
普通にしていたら前歯は全体が見える訳ではありませんので、見える範囲で観察し「違和感があるかも」でいいので見ておきます。
ただし、直接保持して唇をめくり前歯を見るのは動物にストレスが多いので自宅での観察ではおすすめしません。
3.下あごが湿ってないか
上記の様にヨダレが多く出ている時も不正咬合を疑います。下あごや首、前手が湿っている場合は歯の刺激でヨダレが多く出ている可能性があります。自然にヨダレが口の外に出る事はありませんし、多少の汚れなら自分で綺麗にできるはずです。
たまに、皮ふが荒れてきたと言って来院し、精査したら口内の問題であった事もあります。
デグーさんが重度の不正咬合の場合は、無症状で済む事はほぼありません。明らかに体重が減り、ヨダレまみれになります。一方で、症状を隠すのが上手い子は軽度の不正咬合では元気な振りをしています。微妙に歯ぎしりが増えた、なんとなく体重が減った状態でも動物病院で検査をしていいと思いますので、自宅でも観察しておくのを習慣化しておくと良いでしょう。
BEN犬猫エキゾの病院
院長 石川雅章