症例紹介
虫餌の鮮度の話
当院では昆虫をたべる動物が多く来られますので、診察では昆虫の質についてお話しています。
何度も来院している方はいつものあの話かという内容です。
デュビアがいいとか、ミルワームが脂肪が多いとかの各種の話ではなく、虫全体に言える鮮度の話です。
餌の状態は色々な状態で売られています。生きている活餌、冷凍、乾燥、缶詰、真空パックなどです。
鮮度という観点で見たら圧倒的に活餌が良いです。生きているコオロギやデュビアなどです。
活餌でさらに上を目指すなら「ダスティング」や「 ガットローディング」の品質を高めていくと良いです。
・ダスティング:カルシウム剤やビタミン剤をかける。多くの爬虫類では必要。各社からサプリは出ているが、入っている内容は異なるので吟味が必要。
・ガットローディング:餌の餌を良くする事。コオロギなどが食べる餌の品質を強化する行為。
当然ですが、ガリガリに痩せて新聞紙を食べているようなコオロギは活餌ではあるものの、品質は低くなります。また、コオロギも病気になりますので、変色して息も絶え絶えな状態の虫は食事には出来ないです。
最近は専用の虫の餌が多く出てきているので、そういった商品を使ってみると良いと思います。昔の本にはドックフードや熱帯魚の餌の余った物で良いと書いてありましたが、それは昔の話です。
ここら辺は畜産や水産食品と同じです。品質の良い黒毛和牛の牛肉とスーパーで売っている牛肉の品質管理が同じであるはずがありません。牛の生産は緻密な食事や気温の調整が必要で、畜産農家さんがかなりの努力をして作る物です。
魚を食べるにしても、板前さんが切った新鮮な魚と缶詰の魚の品質が同じである事はありません。新鮮なお魚が食べたいですよね。
動物をいい体調に持っていきたければ、品質のいい餌を食べた活餌がベストです。それを惜しみなく続ける事が大切です。
もちろん、冷凍餌が絶対ダメではなく、ショップに行けない時は使っても構わないと思います。私は小学生のときから冷凍コオロギを使ってますが、大きな問題は個人では見ていません。
冷凍や乾燥といった保存の仕方のリスクはビタミンなどの栄養分の一部が変性してしまうという事です。冷凍とは言え時間が経てば経つほど品質が下がっていくものです。冷蔵庫の奥に何か月も置いて、化石みたいになってしまった餌はすごく危険だと思います。
そのため、冷凍餌のみで飼うのはそれなりのリスクがあるので、その点を留意して使っていくべきです。
ボールパイソンやコーンスネークといった飼育しやすいヘビの仲間は冷凍餌のみで飼えますし、「腐肉食い」が正常な動物もいます。0か100かの極端な発想ではなく、冷凍餌をはじめとする保存食の扱いを知った上で使っていくのが妥当ではないでしょうか。
BEN犬猫エキゾの病院
院長 石川雅章