症例紹介
鳥
鳥で目が腫れたらの話
セキセイインコさんなどで、「目が腫れた。」という
病気の鑑別は複数ありますので、見た目だけで病気を確定するのは良くないと思いますが、「鼻炎からの目の腫れ」が原因である事が多いです。
なぜ、目が腫れているのに「眼」なのかを説明したいと思います。
鳥類の鼻はちょこんと小さな鼻の穴があるだけで、外見からは大きくはみえません。しかし、穴の奥には空間が広がっていて、口ばしの根本や目の上下まで空間があります。そのため、鼻の炎症が目まで広がる事があります。
そもそも、鳥類の呼吸器は哺乳類に比べて「換気」のスペースが広く効率的になっています。極端な話、鼻から吸った空気は股の方まで続く「気嚢」まで連続しています。
体の隅々まで空気が循環するシステムになっているため、沢山の酸素の交換ができます。
顔の周りにも「副鼻腔」と言って空気が循環する空間が広くあり、細菌やカビの感染が起きると腫れます。
その場合、単純な点眼のみでは呼吸器である副鼻腔には効きにくいため、内服で鼻に抗生剤を届かせたいと考えます。
点眼がダメという意味ではなく、併用しつつ内服の治療を主に行っていくという事です。
もちろん、薬を何を使うかはその都度考慮します。
薬を1剤でいくのか、2剤併用でいくのか、何系の抗生剤でいくか……など考えを巡らせ、重症度や投薬がしやすいかも含めて決めます。
膿が取れれば、培養検査をやって菌の種類を診断したり、有効な薬剤を特定できます。その結果も薬を決定する良い材料になりますので、検査が可能であればご提案します。
何はともあれ、目が腫れたら動物病院に行き、治療するべき症状であると言うのは覚えておいて下さい。
BEN犬猫エキゾの病院
院長 石川雅章